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家に帰ってみると、リビングで姉がいた。
「尊、今までなにしていた?」
「いや、ぶらぶらしていた」
はあ、とため息が漏れる。
「両親に顔を会わせられない…。前にも言ったよね?」
「何で、両親が関係する!?」
心と違った言葉ばかり出てくる。
「自分の事すら、何も出来ないならお前は、家族じゃないっていってんだ!」
「はぁ?ならせいせいするよ!!俺だって…俺の姉はいない!!」
パリんっとリビングに音が響く。
姉が、湯飲みを尊に投げ付けていた。
「………」
尊は、何も言わずに部屋に戻った。部屋に戻ってから必要性のあるものだけ取りだし、リビングに戻った。部屋がいつもと何か違ったが気にしなかった。
「じゃあな、………二度と現れるかってんだ!」
バタンッと扉を閉め家を飛び出した。
ーーーああ、言うつもりもなかったのに……何で言ったんだ。
どこにも行く宛もなくぶらぶらと歩いた。
何日も街を歩いた気がする。母校が目の前に通りすぎたりした。必要な物は持ってきた。けど、何日も過ぎれば金はなくなる。
行く宛もなくぶらぶら歩いていると目の前には………海が広がっている。地平線が見える。
ーー生まれ変わりたい。姉に迷惑をかけないでいられる俺にーー。
「そう言えば、生まれ変わり薬貰ったんだっけ…」
鞄から、がさがさと探す。鞄の中から手のひらサイズの瓶がある。中には1粒の薬がある。それを飲めば生まれ変われるんだ。
「生まれ変われるなら、真っ先に謝りたい…」
最後に残ったみずを薬と一緒に飲みほした。
それと同時に頭が割れそうになるぐらい揺れる。最後に目に映ったのは夕暮れの海辺に白衣を着た……天使だった。
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