夢現

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生きている者は 数えるほどしかいない。 辺りに立ち込める 死臭 死に向かう者の声にならぬ呻き 苦悩を現す叫び、 うめつくす鉄のにおい ゆらゆらと、 未だ燃え盛る焔、 焼けた人肉の なんとも嫌悪感を覚える臭気 そして、 腐敗した血肉の臭い―。 空は曇天―。 今にも雨が降り出さんとする 地には、 志半ばで散っていった 持ち主の無念を表すかのように 血を浴び、ぱきりと割れた刃が 数え切れぬほど 突き刺さっている。 ―――――ここは戦場―― その荒んだ光景に 似つかわしくない 一際、輝く存在が 一人――――――
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