1. 殺人鬼はその身の終わりをただ歌う

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「ユーリシア!」 「大丈夫よ、少し散歩するだけ」 ユーリシアは、彼女の父親が怯えていると言った割には、とてもそうは見えなかった。 むしろ、毎日のように、何かと理由をつけては外に出たがる。 「ランディオット殺人の犯人はまだ捕まっていないんだ。 目撃者である君を狙っていたらどうする?」 「……大丈夫よ、私、何も見ていないから」 僕が呆れたように肩を竦めると、ユーリシアはいつも悪戯っぽく微笑み、こう言うのだ。 「エリオットがついてきてくれれば、安心でしょう?」 僕が、彼女の微笑みに適うわけもなく、いつだって僕は彼女のそばに居た。 「仕方ないな…けれど、最近はこの近くでも殺人があるって話だよ。 あまり大通りから離れないように」 「…大丈夫…心配、ないわ」 そう、例え殺人鬼からであろうと、僕はユーリシアを守り通してみせる。 その時の僕は、そんなことを、考えていた。 けれど、絶望は思ったより速く訪れる
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