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「…大丈夫、ユーリシア。
僕は貴女を見捨てたりしない」
「…ありがとう、ありがとう…エリオット」
僕の腕の中で、彼女は小さく震えていた。
「…でも、違うのよ…。
私、人を…殺してしまうことに」
耐えきれないのだと、彼女はそう言って泣いた。
僕は、彼女の為ならば、誰が何人死のうと、構わないと思っている。
必要なら、その手助けすら厭わない。
―けれど、それでは彼女は救われない
彼女の心が、壊れてしまう。
「大丈夫、いつか僕が、貴女を救ってみせるから」
結局のところ、僕に出来たのは、夜に密かに出かける彼女を、見逃すことだけだった。
(…僕は、無力なのか)
彼女の後ろ姿を見つめるだけで、何も出来ない。
そんな自分が、疎ましかった。
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