1. 殺人鬼はその身の終わりをただ歌う

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彼女は、ベッドの上で歌を歌っていた。 それは確か、何かの劇曲。 寂しくて、切ないメロディー。 「…これはね、一人ぼっちの吸血鬼の歌よ。 彼は、たった一人の友人をその牙で殺してしまったの。 その最期に、使われる曲」 ユーリシアは、歌い終わると静かにそう言った。 手には、詩集がある。 今の歌は、そこに書かれているものなのかもしれない。 「私、見つけたの。 あの殺人衝動を、眠らせる歌を」 「…え?」 それは、喜ぶべきこと。 しかし、彼女は悲しそうに微笑んでいる。 「それじゃあ、君はもう、普通に戻れるんだ。何でそんな悲しい顔をするんだい?」 「…あれは私に根付いた衝動。 眠らせることは出来ても、なくならない」 そう、彼女の殺人衝動は、息をするようなもの。 其れを眠らせるのは、例えば肺を取り除いて、息を止めることと同じ。 「…それじゃあ、君は」 ―死ぬ、というのか
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