1. 殺人鬼はその身の終わりをただ歌う

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それから毎日、彼女はベッドの上でその歌を歌い続けた。 彼女が言うには、其れは一種の暗示のようなものらしい。 自殺すら阻む、忌まわしい【殺人衝動】を眠らせる、唯一の手段。 もしそれが、本当にただ眠るだけなら、良かったのに。 けれど、其れを許さない程に、彼女は《殺人鬼》だった。 殺人衝動は、確かに止まった。 同時に、彼女は衰えていった。 物を食べられず、手が震え、身体はやがて動かなくなった。 それでも、彼女は、歌い続けた。 「ねぇ、エリオット。私はあの衝動に耐えられない。 いつか貴方まで殺してしまうかもしれないなんて、耐えられない」 こんな形で聞きたくはなかった。 そんな顔で、伝えて欲しくなかった。 「…エリオット、大好き。大好きよ」 想いが通じ合った、愛しいその人は。 ―自らの死を、ただ、歌う
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