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世界に生まれ落ちて、初めて聞いたのは、世界の怨嗟の声だった。
聞きたくなくても、聞こえてくる。
全ての声が、聞こえてくる。
伸ばした手で触れたモノは、須らく壊れた。
何かを願っただけで、あらゆるモノが滅んだ。
―そして結局私は、暗い、暗い鳥籠に、閉じ込められることとなった
きっと何十年もの時が過ぎた。
私は、ずっと鳥籠の中だった。
けれど、鳥籠は世界から隔絶されていて。
私は、何かを恨む声も聞かず、誰かを壊すことも無かった。
―それだけは、幸せだと、感じていた
何重にも巻かれた冷たい鎖。
私はこの中で、朽ちることも出来ず、生きている。
「望まれて、生まれ落ちた、筈だったのに」
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