2. 望まれざる救世主

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不意に、暗闇しかない筈の空間に、光が差した。 目を凝らすと、雨に濡れた、狼のような青年が立っている。 金色の瞳が、私を射抜く。 「…お前か、歌っていたのは」 青年は、そんなことを聞いてきたけれど、私には何のことか解らなかった。 ただ、私はこの、誰もいない鳥籠に現れた不可思議な存在である青年に、興味が湧いていた。 「…君は?」 辛うじて出た言葉は、けれどしっかり青年に届いたらしい。 「リオ」 初めて聞いた筈のその言葉は、けれど産まれた時から知っていたかのようで、ある筈もない郷愁に似た想いに駆られる。 「…理を繋ぐ緒、か」 私はごく自然に、産まれて初めての、微笑みを浮かべていた。 「ああ、良い名前だね」
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