1. 殺人鬼はその身の終わりをただ歌う

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自治警察官である僕、エリオット=クロードが、 彼女に出会ったのは、とある日の昼下がりだった ―アールベルグ 工業発展を遂げたこの街は、典型的な貴族と、未だ発展の恩恵を受けられないスラム層の二つが存在している。 治安はとても安全とは言い難く、僕のような自治警察が多く街を巡回している。 その日僕は、新しく出来た劇場前広場を巡回していた。 「きゃあっ!」 声に驚いて振り向くと、馬車から見事に転がって出た、少女がいた。 「大丈夫ですか、お嬢さん」 「すみません」 僕が慌てて手を差し伸べると、少女は身を起こし、恥ずかしそうに身を起こすと、小さな笑みを浮かべた。 「今日は、ほら、ランディオット様の初日でしょう。 それで私、慣れないドレスを着て、裾を踏んでしまって」 まるで照れ隠しのように、その少女はそう言ってドレスの埃を払う。 ランディオットは、確か俳優だ。彼女はこの劇場に芝居を見に来たらしい。 「ほら、ユーリシア。 行きますよ」 馬車から降りた、姉だろうか、とにかくその女性に呼ばれ、彼女、ユーリシアは僕の手を離す。 「ありがとう、お巡りさん。 それでは、またね」 ユーリシアはそう言い、劇場に駆けて行く。 …見守っていると、案の定、階段でまた転んでいたのだけれど。
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