1. 殺人鬼はその身の終わりをただ歌う

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それから、どれだけの時間が過ぎたのか、僕にはよく解らなかった。 ぼんやりと空を見上げて過ごして居ると、芝居が終わったのか、劇場から次々と人々が出できている。 (…彼女だ) 僕はその中から、一際美しい少女の姿を見つける。 彼女は、人混みに揉まれ、今にも転んでしまいそうだった。 「…あ!」 姉とはぐれてしまったのか、彼女は人混みを誰か探しているようで、足元の階段を踏み外してしまう。 ぐらりと、ユーリシアの身体が揺らいだ。 「おっと、大丈夫ですか、お嬢さん」 「えぇ…あら、貴方はさっきの…?」 揺らぐ彼女の身体を抱き留めた僕を、彼女は驚いたような瞳で見つめていた。 「貴女は、また、と仰ったでしょう? ですから僕は、貴女が帰りにまた転ばないように手を差し伸べようと思って」 僕の言葉に、彼女は暫く茫然として、そして一際美しい笑みを浮かべた。 「まぁ、ありがとう、お巡りさん」 そう、僕は、こんな歯の浮くような台詞が出るほど 一目で、彼女に恋をしたんだ
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