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「…それで娘は大層怯えてしまってね。
誰かに警護を頼もうと思っていたんだが」
「私が、貴方の事を教えたのよ。
劇場前のお巡りさんに、良い人がいるって」
それから三日だった。
それは、まさに運命とも言える出来事だった。
「誰かと思えば、クロードの息子。
これは安心だと思ってねぇ」
「…ありがとうございます」
僕は彼女の家に招かれていた。
事は、ランディオットの楽屋を訪れたユーリシアが、血まみれで倒れている彼を見つけたことから始まる。
怯える娘に警護をつけたいと思いたった父親が、ユーリシアの姉から僕の話を聞いたらしい。
ただの自治警察が、警護役を任されるなど、普通はあり得ないのだが、そこには一つ絡繰りがあった。
「しかし、クロード警視の息子の君が、どうして自治警察なんかにいたのかね」
「はは…修行の為、でしょうか」
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