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「人柱にされたって事かな」
分かりやすく教えたつもりだろうが、淡雪ちゃんや。余計難しくなってね?
だが、意味は伝わってくる。この痛い気な少女の人生は俺絡みで終わってしまったということか
「そうか」
何て声をかければいいのか、分からない。果たして俺に淡雪ちゃんを慰める資格があるのだろうか
「ねえ、×××」
淡雪ちゃんは粛然とした様子で、独白する
「生きる事ってままならないよね」
その言葉にどんな意味が込められているのかは分からない。きっと俺が思っている以上の思いが詰まっているのだろう
「‥‥‥そうだな」
僅かに言葉に詰まってしまったが、淡雪ちゃんはニコリと微笑む
「きっと、この力があれば×××ならーーううん、アーカーシャならやれる。やっていけるよ」
引き受けると言ったつもりはないのだが、断れる雰囲気じゃない‥‥‥か。そして、アーカーシャ。俺の次の世界での名前か
「‥‥‥ごめんね。きっと×××は私の事を怨むと思う。許さなくて良いから」
‥‥‥怨む。その言葉のワケを聞くより早く淡雪ちゃんは、俺の首もとを無理やり引っ張り頬にキスをする
途端に俺の身体が発光し、消え始める
「ばいばい、さよなら」
「ちょ、待ーー」
淡雪ちゃんの言葉はそれっきりだった。俺はこの白い世界からログアウトしたのだと理解するのに、そう時間はかからなかった
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