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目の前が白んでいる。どこかデジャヴを感じさせる景象を前に、地面を擦るタイヤの残響音がどこからか耳の中で木霊し続ける
「ーー初めまして、偉大なる龍王様」
そんな残響音をかき消すのは、どこか聞き覚えのある透き通った綺麗な音色みたいな声だった
(誰だ‥‥淡雪ちゃん?)
焦点がぼやけるが俺は音を頼りにして身体を動かそうとする
だが俺が自由に動く事はなかった。出来なかった。自由権の侵害である。訴訟してやる、弁護士を連れて来い
地面に縫い付けられでもしたのだろうか、俺の身体は何かに引っ張られる形で地面に叩きつけられたのだ
「ガウ!!(いてっ)」
それと同時に低い地鳴りの様な獣の呻き声が直ぐ近くで響いた
「無礼は承知の上ですが、束縛魔法で貴方の動きを封じさせて貰ってますので、ご理解を」
「ガウガ(なんだと)?」
徐々に視界が定まってくる。這いつくばっている俺の顔もとには、白蓮のように一切の色素を含まない無彩色の浮世離れした少女がいた
「ガウ(誰だ、お前は)」
そいつは先ほどまで自分と楽しそうに話してくれていた潔白な少女と同じ顔をしていた
「ガルルッル(何だか知らんが)」
だが、あの少女とは顔が同じでも似ても似つかない。皮肉に満ちた笑みを張り付けている
「ガルー(その顔でその表情はやめろ)」
なんだか、とてつもなく
「ガー(不愉快だ)」
少女は少しだけ困った表情になり、頬をぽりぽと掻く
「何を言ってるかは分かりませんが」
「言いたい事は分かってますよ」
彼女はわざとらしく間を置く
「私の美しさを称えているのですね?」
したり顔でなに言ってるのこの人?
恥ずかしいんだけど!ねぇ恥ずかしいんだけど!!
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