ピリオド

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世の中に絶望した。幼い頃に両親は他界。会社は潰れ妻子には逃げられる。第二の人生を歩むには年齢的も金銭的にもに厳しいだろう。 眼下には色鮮やかなネオンストリートが瞬いていた。強い風が吹き私の前髪をゆらす。すでにフェンスを乗り越えていた私は最後の一歩を踏み出そうとしていた。 大きな深呼吸をし、目を閉じる。心臓はバクバクと高鳴り、呼吸が荒いことがわかる。 私は死ぬことを恐怖していた。しかしこれから先一体どうやって生きて行けばいいのだろうか。毎日新聞紙に包まりながら夜を越え、毎日同じ服を着て、毎日のようにゴミ袋をあさる。そして誰にも気付かれないでひっそりと死んで行く。想像しただけでも身の毛がよだつ。そんなもの文明人の生活ではない。 もしかしたら、こんなちっぽけなプライドが自分の身を滅ぼしたのかもしれないな、と思った。しかし今さら気付いたところで遅すぎる。こんな私に何が出来ようか。
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