0人が本棚に入れています
本棚に追加
私がまだ幼かった頃、母さんに尋ねたことがあった。
「どうして沙夜はこんな風になっちゃうの?」
私は、満月になると姿が変わってしまう。
混じりけのない銀色の髪、血のように真っ赤な真紅の瞳。
私が村に居た頃、よくこれで苛められていた。それも、過去のことだけれど。
そんな私の質問に、母さんは柔らかく微笑んで答えてくれた。
「沙夜、それは、沙夜が私たちの先祖の血を引いているからなんだよ」
母さんからその返答を聞いた私は、幼いながらも妙に納得している自分がいるのに気付いた。
それと同時に、自分がやはり人間でない現実を突き付けられた気がして、悲しくなった。
―――化け物の自分は、捨てられて当たり前なのだと
そんな風に自虐的な呟きを、母さんは叱った。
叱った母さんの顔は、どことなく、寂しそうだった。
母さんたちが寝静まって、一人で外に出る。
近くの湖まで来ると、草むらに座り、近くの石を手に取り、投げ入れた。
湖に移っていた月の影が石を投げいれた衝撃でゆらゆら揺らめく。
私は、寝そべって寝るわけでもなく考えていた。
私を捨てた、本当の母親のことを………
最初のコメントを投稿しよう!