幼い頃の思い出

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「ねぇママ、どこに行くの?」  まだ幼かった私の問いかけに、母は答えてはくれなかった。  母に腕を引かれ、連れてこられたのは、村の外れにある森の入り口だった。  その森は、獣にあふれているから、近づくと食べられてしまうと母から言われていた。 「ママ、帰ろうよ。危ないよ。食べられちゃうよ」  当時はまだ森が恐ろしかったから、とても怖かった。  私は、帰ろうと必死になって母の手を引っ張るが、幼い子供にそんなことが出来るはずもなく。  10分ほどたったところで、母は私と目線を合わせて、とても悲しそうに言った。 「ごめんね、××。私はもう、あなたを育てることが出来ないの」  当時の私は、それがどういう意味か全く分からなかった。  私の所為で、母が村の人たちに嫌がらせを受けているなんてことも、全然知らなかった。  幼いながらに、母がどこかに離れて行ってしまう気がして、私は泣いてしまった。  それを見て、とても悲しそうに、母も泣いた。
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