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腕の時計は6時だった。
時刻があっていれば朝の6時。
ベッドから身体を起こし、頭をかく。
ベッドの横にある化粧台(化粧品を使用しているわけではない。男なので。)に視線をやる。
台の上には拳銃が置いてある。その拳銃に手を伸ばし、弾倉を取り出し、残弾確認。
毎朝の日課。今日も異常なしだった。
ホッと溜め息をつく。
弾倉を拳銃に装填する。
ゆっくりベッドから立ち上がり、はいているGパンに拳銃をねじ込む。
大きなあくびをしながら、寝室から出る。
キッチンへ。
キッチンと言っても、缶詰ばかりだ。
それでも自分にはご馳走だ。
この《化け物》だらけの世の中では。
今日は何を食べるか、と、ほとんどトウモロコシの缶詰で埋まっている食器棚を見る。
「コーンのマヨネーズ和え。」
食器棚からトウモロコシの缶詰を一つとり、冷蔵庫からマヨネーズをとる。
缶詰のフタをカチリと勢いよくあけ、皿に盛る。
盛るというよりは、皿にどろりと移す感じだ。
というか、わざわざ皿に盛らずとも、缶詰のまま食べればいい話なのだが、自分としては人間らしい食事を心掛けたい、どこか譲れない感情があるので、こうやって皿に移して食事をするようにしている。
その食事らしくない食事に、マヨネーズをかけ、スプーンで和えれば、朝食の完成だ。
では、いただきます。
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