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「はあ、はあ……」
真夜中、少女は路地裏を駆けていた。
白いYシャツに黒のスカート、さらには肩に掛けるマントを着け、腰まで伸びた甘栗色の髪の少女。
そんな少女が息を切らしながら走っていた。
「早く……早くしないと」
少女は口癖みたいに先程から呟くばかりだ。
「あっ……」
しかし、駆けていた少女の足が縺れてしまってコンクリートの地面に倒れ伏してしまった。
「あっ、痛い……」
少女は機械的に立ち上がるーーが、それは叶わなかった。
「急がないとーー」
少女は顔をしかめる。
苦虫を噛むように、少女は続けて言った。
「『魔法大会』を……開催してはいけない」
そこで力尽きたのか、少女は顔を伏せたのだった。
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