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とーん、とん
ととーん、とん、とん
兎が飛び跳ねれば心地よい足音がします
でも森の住人は
『ひねくれうさぎが来たぞ、大事なものを隠せ』と大騒ぎ
春になれば 幼子の桜を散らし
夏になれば 憩いの水場で跳ね回り
秋になれば 丹精込めた吊るし柿落とし
冬になれば 眠りの大熊揺り起こす
兎が跳ねれば小さないさかい巻き起こる
謝らない兎と友達になる子はいません
兎だってそんなものはいらないと口元への字
ある夏の日
澄み川辺の河童に夏だけの友達がいると知ります
からかい半分で木陰から覗いてみると
お腹の中が温かくなるような話し声
一緒に笑いたくなるような笑顔が溢れていました
チクリと針で刺されたような痛みが面白くありません
とん、ととん!
自慢の足で二人の間を駆け抜けます
二人が積み上げていた石に『偶然』当たって崩れても知らんぷり
『ひねくれ兎!悪いことばっかりしてると天罰下るぞ!』
『兎の行く先にいた河童が悪いんだもの!』
胸の痛みも消えて兎は上機嫌で森の奥へ消えました
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