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2.
森の社でうたたねしていた兎が目を覚ますと
月に照らされた社の奥で何かが光ります
小首をかしげた兎が見たのは
大切に祀られた丸くて綺麗な鏡でした
手に取り覗き込むとそこには兎の顔
右見て 左見て 笑って 怒って
兎そっくりに鏡は 写し出します
まるで中の良い双子のようです
ひとしきり中の友達とあそんだ後
冷たい鏡面に触れてつぶやきました
『…あなたみたいなお友達ならいいのにな』
ととん、とーん、とん
足音に振り返ると
そこには鏡の中のそっくりな友達がいました
兎が手をさしのばすと友達はにこりと笑って手を取ります
ひねくれ兎は、初めて友達を得たのでした
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