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「タク?」
莉乃は卓哉に背中から包まれたまま話しかけた。そうすれば顔を見ないで済むから。
「ん?」
卓哉の顔が無防備に近づいてきた。
「イブはやっぱり無理?」
言った瞬間後悔した。
卓哉が身を固くしたのが背中越しに伝わってきたから。
「イブはさすがに。莉乃だってそうだろ?」
「うん…ごめん。」
タブーには触れない。
二人の暗黙のルール。
「ごめんね。」
卓哉が体を離して姿勢を立て直した。ワイシャツの袖のボタンを留めた後みたいに。
「ううん。謝らないで。私も。ごめんね。」
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