気詰まり

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莉乃は狭い路地に入って外からアパートの自分の部屋を見上げた。灯りは見えない。 ということは柾生はまだ帰っていないということだろう。遅番のシフトだったかもしれない。そう思ってほっとした。 卓哉と付き合うようになってから柾生といる時間が苦痛になっていた。特に卓哉とデートした日は。 莉乃の体にはまだ卓哉の体温とか感触が残っているような気がする。 それは莉乃にとっては心地良い名残だったから大切にあじわいたかった。柾生のためにその感覚を無理に消してしまいたくなかった。
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