気詰まり

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階段を上がる前に共同の集合ポストをチェックした。ポスティングのチラシに混じって上質な紙に金で縁取りされた封筒が入っていた。 差し出し人は莉乃と柾生の共通の友人だった。中身は見なくたってわかる。結婚式の招待状だ。 莉乃は震えながら階段を上った。深夜のこの時間は気温が急激に下がる。ホテルでシャワーを浴びた後の北風で体は芯まで冷えてしまっていた。 身を縮めながら急いで鍵を取り出してドアを開けた。真っ暗な家の中で唯一バスルームから灯りが洩れていた。 (柾生、いたのか…) 莉乃に憂鬱とまではいかないにしろ落胆というような感情がわいてきた。
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