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(そろそろ窓閉めようかな…)
夕方になり急に冷えてきた。
秋の夕暮れ時。
あっという間に真っ暗になるだろう。
そう思った矢先、鳥は突然我に返ったみたいに部屋の中を羽ばたき始めくるりと旋回したのだ。
鳥はバルコニーに出ると迷う様子もなく何処かへ飛んでいってしまった。まるで急に自分の居場所を思い出したみたいに。
「チイとかピーとかサヨナラの挨拶らしき一声あってもいいんじゃない?」
真理沙はいなくなった鳥に向かって言ってみた。
(行っちゃった…)
南の空はもう群青の闇が下りてきていた。西の空は燃え尽きるまで燃え切るような赤。
そのコントラストの間にほんのわずかな時間だけ見えるグラデーションがとてもきれい。
儚くてどこか哀しいこのグラデーションを見ていると急に泣きたくなってきた。
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