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ピンチだ。
危機的状況だ。
役所勤めの母を心底激怒させたら、戸籍自体抹消されるかもしれない。
思春期だろうが反抗期だろうが、理不尽な態度をとろうものなら問答無用で叩き出すような母なのだ、晴樹の母は。
何故こうなってしまったのか、晴樹はここに至るまでの過程を必死で思い返した。
* * * * * * * * * *
理学療法士になると決めた晴樹が進学したのは、県外の大学だった。
地元の大学よりそこを選んだのは、偏差値の問題もあるが、姉の結婚相手が地元大学に勤めていて何となく避けたというのも理由の一つだ。
そして、何より独り暮らしをしてみたかった。
しかも、その大学には晴樹が頼りに出来る先輩たちがいた。
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