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茂は、毎日、疲れ果てていた。
通勤時間は片道一時間半もかかり、毎朝、まだ日が明けないうちに家を出て、真夜中になって家に帰り着く。
そんな毎日を過ごしながら、いつの間にか、自分の生きがいで憩いの場であったはずの我が家が、段々と違うものになり始めていた。
目の中に入れても痛くない我が子の翼と、最愛の妻である恵。
そんな二人の事を愛している気持ちに変わりはないのに、いつの間にか鬱陶しく思う自分が居たのである。
それに気づきながらも、認めたくない自分がそこに居た。
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