第5章 すれ違う心

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. 夜中に、翼の泣き声が聞こえる度に、訳も分からずに怒りが込み上げてくる。 最初はそれほど気にならなかった恵のあやし声さえも、妙に気になってしまい、夜も眠れない状態になっていた。 「茂ちゃん、翼はまだ赤ちゃんなのよ。泣く事でしか、自分の気持ちを伝えられないのよ。だから、そんなに怒ったような顔をしないでちょうだい」 恵の言葉に対しても、何の返事も出来ない自分の不甲斐なさを実感するのだった。 「……それは分かっているんだ。でも、俺も仕事が大変な時期だからさぁ、毎晩のように泣かれると、眠れなくって」 溜め息交じりの茂の言葉は、恵の疲れた心に重くのしかかっていく。 .
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