第6章 火遊び

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. ……それは、ちょっとした出来心だった。 茂の心の中にある男としての一部分が静かに目を覚まし、やがてそれは茂の中で大きくなっていった。 (恵の事が嫌いになった訳じゃあないんだよ。でも、俺も、正直言ってどうしたら良いか分かんないんだよ) 言い訳のように自分に言い聞かせながら、茂の心は恵ではない別の女に向き始めていた。 「今夜、急に飲み会が入ってしまったんだよ。ごめんな、恵」 「……そうなんだ。余り飲み過ぎないようにしてね」 優しい恵の言葉が嘘をついている茂の心に突き刺さる。 .
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