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練習試合の球場は、星花高校グランドで行われるため、並森第三高校が出向いてくれた。
部員の顔が見えてきて良太はハッとした。
「東次郎、あれ、藤森俊じゃねーか ?」
その声を聞き東次郎は相手チームを見る。
「藤森!なんでこんな高校にいんだ?」
藤森俊。
中学野球全国大会の初戦で戦った時の相手エースだった。
7回まで両チーム0が並び、藤森は一人のランナーも出さずに8回の守備のマウンドに立った。
その回に良太が棒球をホームランにして1-0で勝ったが、あまり喜べない初戦となった。
「おっ!久保と新井じゃねーか!お前らこの高校だったのか!あれっ!彩乃ちゃんもいるじゃん!彩乃ちゃーん!」
「おい!待てよ!」
東次郎が彩乃の手に触ろうとした藤森の手を止める。
「お前、なんでこんな高校にいるんだよ!お前なら推薦とかも沢山…」
「うっせーよ!」
今度は藤森が東次郎の話を止める。
「無名だったのは昨年までだ。今年で有名になるから。ヨロシク!」
藤森は右手でピースをつくり、それを顔の前に出してきた。
「俊、何してんねん。はよ練習始めよや。」
一人の部員が俊を連れていった。
関西弁を話しているところ見ると、関西出身だろうか。
しかし、そんなことよりも、藤森のことが気になって仕方がなかった。
「監督、佐取さん、今日の相手は強いっすよ。中学ん時、俺らを苦しめた奴がいますから。」
「おー、そりゃー勝利したら波に乗れるな。頼んだぞバッテリー!」
「任しといてください!」
良太と東次郎はグランドに走っていった。
残された監督と佐取が相手チームを見る。
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