校長式辞

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校長先生の話は長い。 大事な話をしているのは分かっているが、しっかりと聞いている人は少ないだろう。 久保良太は眠たい目をこじ開けながら、校長先生の話を右耳から左耳へと流していた。 ふと隣を見ると、大きく口を開けて寝ている新井東次郎の姿があった。 東次郎とは小学校からの幼なじみだ。 小学4年生のときからこれまで、バッテリーを組んできた。 中学3年生の時には、全国大会で優勝した経験がある。 この成績を残していれば、どこからか推薦がきて野球の名門校へ進学?と考える人がいるだろう。 しかし、この2人は違った。ここは神奈川県の公立高校・星花高校。 野球の成績が全くよくなく、ここ10年間の成績は地区大会2回戦進出が最高成績である。 なぜ星花高校への入学を決めたのか。 これには深いわけがあった。 中学野球の全国大会決勝戦でそれは起こった。
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