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良太達のチームは1回と7回の攻撃で1点ずつ取り、2点のリードで9回の守備を向かえた。
マウンドに立った良太はロージンバックに触り大きく息を吐く。
2番、3番バッターを凡打に抑え、4番バッターを2ストライクと追い込んだ。球場のボルテージが上がる。
「あと一球!!、あと一球!!」
良太は大きく振りかぶり足を上げる。
その足のスパイクの金具がグランドの土を噛み、腕を大きく振りボールを投じる。
そのボールはバッターの出したバットに当たらずに、東次郎のミットにおさまった。
「ットラック!バッターアウト!ゲームセット!」
そのコールの後に東次郎が、内野手が、外野手が、ベンチの控え選手が、良太のいるマウンドへ走ってくる。
マウンドでは選手たちが喜んでいた。ベンチでは、監督とコーチが笑顔でその姿を眺めたいた。
小田彩乃はその隣で羨ましそうに見ていた。
彩乃は小学生の時に良太に誘われて選手として野球クラブに入った。
中学生になってからはマネージャーとして2人を見てきた。
その中で今日は一番輝いていた。
もうこの年になると男女の差が大きく出てしまう。
2人が凄い存在になった。
そんなことを思いながらグラウンドを見つめていた。
勝利インタビュー、閉会式などを終え、球場の外にあるバスに乗り込もうとした矢先に、一人のジャージを着た男が目の前に現れた。
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