―御伽噺―

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 とても遠い過去のお話――。  その国には三人のお姫さまがいました。  上の二人も美人ではありましたが、末姫は白磁のような肌とその艶やかな黒髪。そして濡れたようなアメジストの瞳が印象強い、とても美しい少女だったのです。  その国には三人のお姫さまを一目見ようと各国から伝説の騎士や王子さま、王さま達が訪れて、いつも貢ぎ物や金銀財宝に溢れ、きらびやかに、賑やかに栄えておりました。  姫君達は長女が大国の王子さま、次女がそれぞれ伝説の騎士と結ばれ華やかに、幸せ溢れる結婚を果たしたのです。  ですが、末姫だけは、何故かどうしても、誰がなんと言おうと誰にも目もくれず、ずっと独りでいたのです。
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