桜木 奏多

3/8
前へ
/8ページ
次へ
ガラッ 「はよー・・・。」 「奏多ーどーよ、これ!」 挨拶もなしに裕太が話してきた。 「テンション高けーよ…。つか、お前笑えるぞ、その髪。」 「ばか。『いいなー』の間違いだろっ!てか、金カッコ良くね?」 「うん。いいね。似合ってるよ。ばかみたいで。」 そう言い終えると、俺は柄にもなく大声で笑った。 「ひでーなぁ。まぁ、奏多は顔がいーから、髪なんて気にしなくてもモテるし…。あー奏多になりてぇな 」 そう言うと裕太は俺の顔をひっぱったり触ったりしていた。 そのときの裕太の表情があの子にそっくりで俺は重ねてしまった。 「奏多!」 ハッとして前を見ると裕太が不安そうな顔をして立っていた。 裕太が真剣な顔で 「奏多。もう考えちゃダメだ。お前までいなくなったら…」 「考えてないよ。もう、忘れた。」 俺は裕太の言葉を遮ってフッと笑って、誤魔化した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加