桜木 奏多

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「……っ」 気がつけば、俺は席を立ち、かけたてのコートと鞄を抱え飛び出していた。 「あっ、おい!……桜木!」 担任が慌てた様子で俺を呼び止めようとしたが、それより早く、 「奏太!」 祐太が俺の腕を掴んだ。 「逃げんなよ。もう気にしてないんだろ?どうとも、思ってないんだろ?」 「頼むから今だけ、いや、今日だけでいいから…見逃してくれよ……」 俺がそう言うと 裕太は、辛そうな顔を俺には見せず、「貸し1な。」と、言ってから教室に戻った。 「山口。桜木は、どうしたんだ?」 担任が問い詰めるから、 祐太はみんなの方に向き直って笑顔で 「あいつ~ヤバイもん食ったらしくて吐き気etc. だってさー。俺~必死に追いかけたのにさ、ヤバイからよるなーってぇ言われたしぃ。」 クラスが笑いにに包まれた。 担任も「そ、そうか」とだけ言っていつも通りの日になった。 ただ一人 奏太を除いて。
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