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「帰るぞ」
掃除が終わり、俺は一番前の席で本を読んでいる彼女に呼び掛けた。
教室には彼女と俺以外に誰もいない。
「どうして一緒に帰らなきゃいけないの?」
「どうして……って、俺たち付き合ってるじゃん」
俺が言い終わるのと同時に、彼女は勢いよく立ち上がる。
「ば、馬鹿!誰かに聞かれたらどうする!」
「そんなに俺と付き合ってることを知られるのが嫌?俺のことが嫌い?」
「それは違う!」
「じゃあ好き?」
「……」
彼女は下を向いて黙ってしまう。
顔が見えないが、耳が赤くなっているのが分かる。
好きという二文字が言えずにいるのだろう。
俺は笑うのを必死に堪えていた。
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