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「ねえサク、これ見てみ。めっちゃウケる」
とある日曜日、小さな高校の学生寮の一室で、2人の女子が騒いでいた。2人してベッドに寝そべって、世俗じみたファッション雑誌を冷やかしていた。それはファッション誌というよりは、ティーンエージャーの為の総合誌といった感じで、彼女らの知りたがりそうな事であれば、道徳的でなくても、知能の低そうな事でもなんでも平気で載っていた。この2人はそれを知って楽しむというより、むしろ揶揄して笑う方が好きだった。「どれ?」呼ばれた色黒で目の大きい少女が振り向いた。九州生まれのハイテンションのお転婆娘。すらりとした長身でボンキュッボンだ。
名を鹿島桜(カシマ・サクラ)という。サクと呼ばれていた。
「これだよコレ、76ページの一番上」そう言って問題の箇所を指で示すのは降野智晶(フルヤ・チアキ)。
毒舌で暴力的だが根は良い子である。チビで華奢で度の強い眼鏡をかけていた。
「何々…好きな人に変身する方法?ちょ、何コレだっさ!まじウケる!」
「やばいよね、ひどいよね、めっちゃ笑えるよね」
「鼻で?鼻で??」
「ふん」
ひゃはははははは と決して上品とは言えない笑い声が部屋に響く。だが、確かにこの記事は彼女らにとって鼻で笑いたくなる様なものだった。
「これ真面目に載せたんならマジで笑える」
「ネタだろネタ、しかも全然笑えないネタ。嘲笑は出来るけど!ガチなわけねーよ」
その馬鹿馬鹿しい記事の内容はざっとこんな風だった。
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