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“みんな、恋してる?楽しい恋、切ない恋、踏んだり蹴ったりな恋、いろいろぁるケド、みんな幸せなんぢゃなぃ?そんなみんなに今日は魔女ッ娘マリがもっと幸せになれる方法、教えてぁげちゃぅよ!それはね……
大好きなぁの人、ぁの子になっちゃうッてコト!みんな一度は考ぇたコトぁるんぢゃなぃ?ぁの子になって過ごしてみたいッて。考ぇたコトぁるコも、嘘だぁッて思ぅコも、騙されたと思ってやってみて!マリがぁなたを、ぁなたの王子サマに変身させちゃうとっってぉきの魔法、トクベツに教えてぁげる♪”
「ははっ、もうどこからツッこんで良いか解んねー!」
「これは酷いこれは酷い」
導入からして馬鹿丸出しである。そしてそれを超越する下らなさを誇る、本題の魔法が次の様なものだ。
“1.コップ一杯の水を用意し、月光に2時間以上当てておく。
2.相手の体の一部をゲットする。
3.1に2を入れて60秒数える。
4.「マリアンヌ様、マリアンヌ様、私○○(あなたの名前)を△△(相手の名前)に染め上げて。染め粉は此処にございます」と呪文を唱えてから10秒以内に、息をせずにその水を一気に飲みます。この時、「あの人になれます様に」と強く念じるのがポイントです!それから一気に飲めないと失敗だよ!
5.そこには愛しのあの人が立っているハズ!
みんな、やってみてね! ”
「ちょ、相手の体の一部とかまじ変態」サクが笑う。
「こんなでっちあげバレバレなキモいの載せんなじゃね?この出版社絶対赤字だろ!つか百パー幸せならねー、むしろそんなんしてる自分イタ過ぎて死ねるわ」
現実的でストイックなチアキはここぞとばかりにベラベラとののしる。
彼女はこうやって日頃のストレスを発散しているのかもしれない。
「ねぇ」サクはクスクス笑いながら呼び掛けた。
「コレ、ホントにやってみようよ」
「はあ?」チアキが眉根を寄せた。しかしサクは続ける。
「ホントになったら面白くない?」
「あんた馬鹿?それ超暇人だよ。ホントになるわけ無いだろ」
チアキは鼻で笑う様な仕草を見せた。しかしサクは懲りずに食い下がるのだ。
「コレさ、ホントにやってみて有り得るワケないじゃんね。でもさ、ココさ、さも本当の事みたいに書いてあるじゃんか。ひっかかったフリしてさ、出版社に「ウソ載せないで下さい」とかって泣きながら電話してさ、どんな反応返ってくるか気になんない?」
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