4人が本棚に入れています
本棚に追加
「……いたよ。」堪忍した様にチアキはぼそっと呟いた。
「…で?何」
彼女の毒舌は恥ずかしいとより一層刺々しくなる。
「喋った?」サクはにやけながら問う。
「ちらっと見て、それ以上は見てられなくて、そのまま」
「喋らないの?」「喋りたいけど、喋りたくない」
チアキの声は震えている。
怒っているのか泣きそうなのか、サクにはよく解らなかったが、後者なら面白いと何となく思った。
「ねぇ、ちーちゃん」
「その呼び方嫌い」
「いーからちーちゃん、喋りたくないんじゃなくて、喋れないんでしょ」
そしてサクはチアキのほうへ身を乗り出すと、耳元に囁いた。
「喋りに行こうよ」
彼女はチアキの顔が耳まで赤く染まったのに気付いた。
そしてその赤い顔がうなだれたまま、こくりと頷いたことにも。
最初のコメントを投稿しよう!