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「すまないね、孤児院に行っていたものだから…」
ホッホッホッ…と笑いながら少年に近づく神父の手には聖書と一輪の白い花
「君は……悩みかい?神に従いし者よ」
「…うん。誰に言っても信じてくれないんだ」
少年は右腕を神父に伸ばす
「…神父様。僕の肩を見て」
「肩を?…怪我でもしたのかい?」
神父は床に聖書と一輪の花を置いた
心配そうに少年の右腕を左手で支え、右手で布切れを肩まで捲り上げた
そこには包帯のように、ぐるぐると細い布切れが巻かれており血が滲んでいる
「この傷かい?」
少年は小さく頷くと、震えた声でこう言った
「…神父様、これは怪我じゃないんだ。いつの間にか滲むようにできたものなんだ…」
少年の顔つきが怯えたように引きつり、灰色の目には涙が溜まっていた
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