迷猫

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女は小首を傾げて、うるっとした上目遣いで山南を見る。 山南もその愛らしさにドキッとしたが、なんとか想い人を頭に浮かべ、気持ちを鎮めた。 女の可愛らしい唇が、恐々と動き出す。 「……きっと…ドコにいっても、知らない人ばっかり…だから……」 フイに山崎をチラッと横目で見る。 その姿に、山崎は察して小さく微笑して頷く。 「……頑張るから…ココにいてもいぃ…ですか?…」 語尾は弱々しかったが、女は自分の正直な気持ちを伝えた。 「はい、頑張りましょう。私も微力ながら、お手伝いしますよ。」 山南がそう言うなり女は本当に嬉しそうに、花が咲いた様にニッコリした。 「ありがとうございます!」 自分達は茅の外で話が決まってしまい目を剥いていたが、その眩しい笑顔に近藤は、 「可愛いなぁーーっっ!!」 と顔を綻ばせ山南達に近付いた。 土方と言えば固まったまま。 局長及び副長三名で二対一。 もう勝ち目は無かった。 「しかし、自分の名すらわからぬのであろう?呼ぶに不便ときた…何としようか?」 近藤はそわそわとして、明らかに自分で名付けたさそうだ。 「局長に当面の名前、付けてもらい。な?」 山崎が女に言うと、女は近藤にぺこりと頭を下げ、 「お願いします。」 と小さな声で答えた。
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