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出航
探検隊は焦っていた。
これまで見たことのない生き物達。
獰猛な植物達。
当初は8人だった探検隊の内、一人の水兵は巨大な木の実の下敷きになり、潰れたヒキガエルのようになったし、もう一人は突如現れた2メートルはある、巨大な蟻の触角に撫で回されている。
あの握りこぶしより大きな顎にかかれば、まるでプリンのように人間の頭は砕けるに違いない。
「おい、ガスター。人間は生態系の頂点じゃなかったのか、とにかく皆、ぶっぱなせ、助けるんだ!」
エバートンは言うが早いか、持っていたガンビー銃を巨大蟻の頭に発射した。
我に返った隊員達も銃や棍棒で攻撃する。
蟻も反撃は予想していなかったのだろうか、赤い血のような体液を撒き散らしながら、あっという間に草の林の向こうに消えた。
「バート。一度態勢を立て直そう。まずは船に帰って報告だ。」
エバートンのよき相棒であるガスターが冷静にアドバイスした。
とんでもない島にきたものだ。
猛獣への覚悟はしてきたが、木の実で圧死では洒落にもならない。
探検航海で見つけた最初の島は危険に満ちているようだったが、それこそエバートンやガスターには望むところであった。
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