6人が本棚に入れています
本棚に追加
探検隊は海岸線を右手に指標にしながら、探索を続ける。
常人なら両手でもつ斧を、片手で1本ずつ持った、レディハープ号で一番大柄なグロウが先頭ですすむ。
鉈代わりに、ばっさばっさと斧を振るう姿はなかなか迫力があった。
二番目はエバートンだったが、さすがに巻き込まれないように、数歩後ろをあるいていた。
2時間は歩いただろうか。
エバートンのうしろで、方位磁石を持って、何やらメモをとりながらガスターが呟いた。
「木がないな。」
「はぁ?、こんだけ生い茂ってるじゃないか。」
エバートンは少し飽きたらしい。
構わずガスターは続ける。
「いや、これは大きな草だよ。緑色の茎だ。かなり太いがな。年輪がある切株も全くない。」
「ふーん。そっか。まぁ確かに。」
エバートンは興味がなさそうだ。まぁガスターも今のところ、気付いたことを言っただけだ。
2時間たって、そろそろ帰船を考えていたときだった。
ガサガサ、ズーン。
突如頭上から降ってきた大岩に、エバートンの前を進んでいた、グロウが潰された。
「うわっ!おいグロウ。」
エバートンが慌てて大岩を押しのけると、大の字に地面にめり込んでいる。
そしてガスター曰く大きな草の向こうから、巨人な、なんというか、そのまま言えば、まさに蟻が現れたのだ。
そいつは黒い光沢のある体をしていて、よくみると全身に細かい毛のようなトゲがあった。
そして真ん丸い頭に2本ある触角で、あちこちをつんつんしはじめ、列の真ん中にいた狙撃手のホークをつっつきはじめた。
「…。」
普段から無口なホークは、顔面を蒼白にして尻餅をついている。
そういえば、綺麗好きで、虫が大嫌いなことで有名であった。
最初のコメントを投稿しよう!