出航

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探検隊は海岸線を右手に指標にしながら、探索を続ける。 常人なら両手でもつ斧を、片手で1本ずつ持った、レディハープ号で一番大柄なグロウが先頭ですすむ。 鉈代わりに、ばっさばっさと斧を振るう姿はなかなか迫力があった。 二番目はエバートンだったが、さすがに巻き込まれないように、数歩後ろをあるいていた。 2時間は歩いただろうか。 エバートンのうしろで、方位磁石を持って、何やらメモをとりながらガスターが呟いた。 「木がないな。」 「はぁ?、こんだけ生い茂ってるじゃないか。」 エバートンは少し飽きたらしい。 構わずガスターは続ける。 「いや、これは大きな草だよ。緑色の茎だ。かなり太いがな。年輪がある切株も全くない。」 「ふーん。そっか。まぁ確かに。」 エバートンは興味がなさそうだ。まぁガスターも今のところ、気付いたことを言っただけだ。 2時間たって、そろそろ帰船を考えていたときだった。 ガサガサ、ズーン。 突如頭上から降ってきた大岩に、エバートンの前を進んでいた、グロウが潰された。 「うわっ!おいグロウ。」 エバートンが慌てて大岩を押しのけると、大の字に地面にめり込んでいる。 そしてガスター曰く大きな草の向こうから、巨人な、なんというか、そのまま言えば、まさに蟻が現れたのだ。 そいつは黒い光沢のある体をしていて、よくみると全身に細かい毛のようなトゲがあった。 そして真ん丸い頭に2本ある触角で、あちこちをつんつんしはじめ、列の真ん中にいた狙撃手のホークをつっつきはじめた。 「…。」 普段から無口なホークは、顔面を蒼白にして尻餅をついている。 そういえば、綺麗好きで、虫が大嫌いなことで有名であった。
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