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同時期、大航海時代にあって、ロム海を挟んで対峙する、二国があった。
北のエギル王国と南のブリスタ帝国だ。
どちらも、海洋産業を発展、牽引してきた国同士で、競争は発展を産んだが、それはいつしか覇権争いへとなっていった。
両国間のロム海はあらかた交易路が確立されていたため、ロム海より西のパシフィック海が新しい争点になっていた。
パシフィック海への出口にあるロム島は、中立地として栄え、その近海では軍の拠点となる島を巡って、小競り合いが続いていた。
この日、ガダル島という小さな島を巡って、両国軍船の本格的な戦いが勃発した。
「ライバ船長、エギル船は五隻です。やつらの戦列艦は二隻なので、火力は五分かと。」
「予想通りだ。やつらの本国からは離れてるからな。そうそう大型船ばかりは持ってこられんだろう。」
ブリスタ帝国軍船の甲板で、毛むくじゃらの副官から黒髭の船長が報告を受けていた。
守るエギル王国軍船5隻と攻めるブリスタ帝国船3隻の戦いだった。
この島は、元々エギル王国のガダル少佐が発見した島で、エギル王国軍の小規模な駐留地があった。
停泊地に相応しい入り江もなく、それまでは見向きもされない島だったが、大航海時代となって、航海の拠点として整備されようとしていたのだ。
ブリスタ帝国にもほど近く、エギル王国の拠点ができるのはブリスタ帝国側からすると大きな脅威であった。
そのためエギル王国によるガダル島の港湾整備が始まろうとした時、それを阻止するためのブリスタ帝国軍による侵攻作戦が始まったのだ。
「旗艦から信号旗です。ワレニツヅケ。センレツツクレ。ニバンカンハノース。」
見張りが告げる。
「さて、やるか。
旗艦に続け、二番艦だ。剣を掲げ。」
「おおーっ。」
水兵達の雄叫びがあがる、士気は高かった。
ブリスタ帝国軍のライバが船長をつとめるノース号は、三級戦列艦で、海戦での配置は、三隻中二番目に位置することになった。
いよいよ戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
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