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エギル王国の三番艦のイーストン号が、ブリスタ帝国の一番艦のジョージ号から砲撃を受けた数分後。
今度はライバ船長の乗るノース号と並んだ。
お互いに射線に入ったのだ。
「撃て。斉射だ。」
イーストン号のターシー船長が大声をあげる。
さきほどのジョージ号からの被弾の影響もあって、砲列甲板は若干の混乱をきたしていた。
かろうじて半分ほどの10門の大砲が火を吹くが、斉射とはいかず、ばらばらになった。
撃たれたノース号は舷側に被弾したが、一斉斉射ではなかったため、被害は大きくはなかった。
数人の負傷者はでたが、みな落ち着いて対応する
「損害は軽微です。」
副官が被害確認と、負傷者収容の指示をだす。
見張りが距離をつげる。
「距離30です。真横に来ました。」
ライバがさっと右手を上げた。
「左舷斉射。」
「左舷斉射っ!」
待ちに待った砲撃合図だ。
副官、掌砲長の復唱のあと、ノース号の左舷37門の大砲が火を吹いた。
元は38門あったが、1門は先ほどの被弾で、使用不能となっていた。
ノース号の砲撃は一斉射撃だったこと、近距離まで近付いたことで、絶大な効果をあげた。
イーストン号は左舷側に、前のジョージ号の砲撃と合わせて致命的に破壊され、浸水で船体が傾き、船脚が止まってしまったのだ。
船体が傾いたことで、砲撃はおろか、航行も不可能になった。
ターシー船長はぶじだったが、踏みとどまって大砲を撃とうとするのを、副官達に抱えられて、救命艇に押し込まれていた。
「えぇい、離さんか。このままで終われるか。」
僚艦に救助されるまで、ターシーは暴れていた。
このイーストン号が航行不能になったことで、戦況は一気にブリスタ帝国に優勢となった。
エギル王国艦隊は3番艦が止まってしまったので、後方の二隻が分断されてしまい、集中攻撃されたのだ。
エギル王国艦隊の前方の二隻は殆ど砲撃に参加することなく、戦闘は終了した。
この日、エギル王国は二隻沈没、一隻中破。
ブリスタ帝国は二隻小破と一方的な結果だった。
エギル王国は補給や輸送が困難になり、ガダル島の基地化を大幅に見直す必要が生じたのだ。
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