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その日、残念ながら、ガスター達の方は空振りに終わった。
エギル王国とブリスタ帝国との紛争の噂ばかりで、期待していた新航路の情報はあまりなかった。
かろうじてあったものも、北のはてにある巨人の島や、西のはての黄金の島、南の竜の島など、うさんくさいものばかりであった。
「自力で探すしかないですね。まずは緯度が同じ、真西に進みましょう。」
帰船して、真面目なジムが船長に提案しているが、航海士のガスターは反対だった。
真西は航法的には単純で、安全だが、それは皆が試すだろうし、今のところ有益な情報もないからだ。
別の進路をガスターが提案しようとしたとき、エバートン達が帰ってきた。
なぜか一様に、皆ずたぼろになっていた。
「いやいや、ドング商会のやつらが絡んできてな。参った参った。」
顔を腫らしたエバートンがなぜか笑顔だ。
「お前まさか、大事の前に…」
あきれた表情のジムにエバートンはウィンクする。
「安心しろ。喧嘩には勝ったぜ。」
皆が苦笑した。
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