6人が本棚に入れています
本棚に追加
出航3日目、まだ目指す陸地は見えなかった。
「うーん、待ちきれんなぁ。おいガスター、今はロム港からどれくらいだ?」
エバートンは退屈のあまり欄干にもたれ掛かっている。
「今は北北西に200キールだな。風もいいし、天気もいいから、まず間違いない。」
ガスターが航海士らしく、正確に答える。
ただ、エバートンが本当に正確な距離を知りたい訳ではないのは、分かっていた。
「ふーん。まぁ、待ってる時間も悪くないな。どっかに島ないかなぁ。」
「バート、きっとみつかるよ。」
ガスターが大きな子供のようなエバートンをなだめていた。
結局今回の航路は、ガスターが提案した北西海域の探索を行うことになった。
理由は、皆が使わない新しい航路を開拓することと、現在の気候だと、涼しく気候が安定しているからだった。
水が貴重な船上にあって、暑いと熱中症になる人数が増える。
さらに天候が安定していれば、天文航法を使いこなすガスターの出番だったし、嵐に合う危険性も下がるからだ。
甲板には、非番の連中も、思い思いにくつろいだり、望遠鏡を覗いたりしている。
今回の探検航海では、最初に陸地を見つけたものには、エギル金貨3枚と、ラム酒10本の報奨が与えられることになっていた。
みな、2交代で休憩があったが、休みの間も、見張りをしているものが多かった。
今までに3人は陸地と蜃気楼を見間違えた者がいた。
船医のメディは、ラム酒を飲んで甲板に寝ている。
エバートン率いる海兵隊は武器の手入れに余念がなかった。
グロウは自前の斧を、シャクハはククリ刀を。
ホークは潮風を嫌って、自室で狙撃銃を分解、整備していた。
最初のコメントを投稿しよう!