出航

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出航3日目、まだ目指す陸地は見えなかった。 「うーん、待ちきれんなぁ。おいガスター、今はロム港からどれくらいだ?」 エバートンは退屈のあまり欄干にもたれ掛かっている。 「今は北北西に200キールだな。風もいいし、天気もいいから、まず間違いない。」 ガスターが航海士らしく、正確に答える。 ただ、エバートンが本当に正確な距離を知りたい訳ではないのは、分かっていた。 「ふーん。まぁ、待ってる時間も悪くないな。どっかに島ないかなぁ。」 「バート、きっとみつかるよ。」 ガスターが大きな子供のようなエバートンをなだめていた。 結局今回の航路は、ガスターが提案した北西海域の探索を行うことになった。 理由は、皆が使わない新しい航路を開拓することと、現在の気候だと、涼しく気候が安定しているからだった。 水が貴重な船上にあって、暑いと熱中症になる人数が増える。 さらに天候が安定していれば、天文航法を使いこなすガスターの出番だったし、嵐に合う危険性も下がるからだ。 甲板には、非番の連中も、思い思いにくつろいだり、望遠鏡を覗いたりしている。 今回の探検航海では、最初に陸地を見つけたものには、エギル金貨3枚と、ラム酒10本の報奨が与えられることになっていた。 みな、2交代で休憩があったが、休みの間も、見張りをしているものが多かった。 今までに3人は陸地と蜃気楼を見間違えた者がいた。 船医のメディは、ラム酒を飲んで甲板に寝ている。 エバートン率いる海兵隊は武器の手入れに余念がなかった。 グロウは自前の斧を、シャクハはククリ刀を。 ホークは潮風を嫌って、自室で狙撃銃を分解、整備していた。
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