彼女の本音の本音

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家の前で単車から降りて、私は思わず手を擦り合わせる。 寒い。風が冷たかった。 「有難う御座いました」 「いいよ、気にしないで」 「今度何かおまけしときますね」 「楽しみにしとく」 ニコッと笑われて、私も笑い返しながらまた頭を下げて家へと入る。 家の中はほんのりと温かくて、何となく息が漏れる。 「まさと、ねぇ…」 シャワー、シャワーっと。 部屋から下着やシャツを持って来てそのまま洗面所へと入る。 あ、このワンピースよく見ると凄く可愛い。 真尋さんの家に女物のワンピースってことは、彼女さんのとか? そうだったらどうしよう。 洗って返そう。 そう決めてシャワーを浴びる。 雨が絡まった髪を出来るだけ丁寧にシャンプーして、体もしっかり歩く。 お気に入りのローズの香りがするボディーソープは、真智先輩も好きだと言ってくれた。 そうか、学校に行ったら先輩に会わなきゃなのか。 嬉しいはずなんだけどな。 「はぁ……」 下着のままでドライヤーのコンセントを差し込み、そのまま髪をかわかす。
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