彼女の傷心とは

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それはやけに湿っぽい日曜日の昼間。 彼の薄いブラウンのベッドシーツの上に散らばっていたのは 濃い青でレースがほどこされた下着で、 それは紛れもなくベッドの上で とれかけのグロスが乗せられた唇から 喘ぎ声を漏らす女のものだろう。 ベッドで重なり合う二人の男女を 日曜日の昼間の陽射しが照らしてて。 私はそれを 自分の手で開けたドアの前で やけに冷静に見ていて 目に焼き付かせてしまった。 彼の薄いブラウンのベッドシーツも 彼女の青いレースの下着も 昼間の陽射しと湿っぽさも 私にはリアルだった。
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