彼女の本音の本音

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否、もしかしたら私が階段上ってるときの音かもしれないし。帰ってきてるなら、メールしてきてくれるだろうし。 最後の二、三段を上り終えて奥にある先輩の部屋へと向かい、ドアノブに手を伸ばす。 「―――…っ、――」 ギシリとまた軋む音とそれと一緒に甘ったるい女の上擦った声が聞こえてきた。 思わず唾を飲み込み、一度離しかけたドアノブを再び握る。 真智先輩のことだし、AVでも見てるのかもだし。 家に誰も居ないから、ボリューム気にしないで見てるんだろうな。 「真智せんぱ――…」 私のその声は女の高い声に遮られてしまい、だからかやけにその光景が遠いテレビ越しのものみたいに感じる。 ――“長い髪の女が真智先輩の上で喘いでいる” 何度も見たことがある大きいベッドの薄いブラウンのベッドシーツの上に散らばる、濃い青のレースのほどこされた下着。 ベッドの側にある窓からは曇り空から注がれる陽射しが二人に当たってた。 真智先輩の家を飛び出た時にはパラパラと雨が降りだしていたけど特に気にすることもなく歩いてた。 真智先輩に気付かれてたのかは分からない。だけど、あの女の人なんて突き飛ばして、私を追い掛けてきてくれたらいいのに。 あーあ、冷たい。カーディガンを着ているから張り付くなんてことはないけど。 何で、先輩。
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