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自分が左手に持ってる、先輩に買ってきたコーヒーが入ったコンビニ袋を見て無性に泣きたくなった。
「椿姫(ツバキ)ちゃん…?」
「……、ま…ひろ、さん」
心配そうに私を覗き込むその顔が真智先輩に似ているから、安心と同時に視界がボヤけた。
「まさと、先輩…!」
「え、椿姫ちゃん」
「っ……ぅ……」
泣き出してしまった私なんて意味が分からないだろうに、真尋さんは私に傘を傾けながら頭を撫でてくれた。
その手が多くて、だけど真智先輩と違うから、またキュッて胸が痛くなって堪らない。
「おいで」
優しい優しいその真尋さんの声に、私は目を擦りながら頷いた。
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何て恥ずかしいところを見せてしまったんだ。このまま走り去ってしまいたい。
「あ、思い出した?」
「すいません…」
「いいよ、気にしないで。珈琲飲める?」
「あ、いや…いいです」
やけに匂いがすると思ったらブラックだったんだ。
真尋さんがブラック飲んでるところって初めて見たかも。
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